夏常在の残酷すぎる最期
『宮廷の諍い女』が描く後宮の闇──後宮を甘く見た妃嫔が辿った末路とは
中国の大ヒット歴史ドラマ『宮廷の諍い女』の中で、主人公たちが後宮に入ったばかりの時に、これからの後宮の恐ろしさが心に刻まれるシーンがあります。
それが、夏常在が受けた「一丈紅(いちじょうこう)」という残酷な刑罰です。
なぜ彼女はこれほど悲惨な運命を辿ったのか。ドラマの描写と史実の両面から、その真相を解いてみます。
一丈紅とは何か──後宮最恐の拷問
「寂しい秋の庭園に背の高い紅い花があったら美しいですわよね」
表向きは詩的な美しさを語るこの言葉。しかしその真意は恐ろしい。「背の高い紅い花」とは、1~2メートルにも高くあがる血しぶきのことだったのだ。
一丈紅の概要
- 板で下半身を何度も打ち続ける拷問刑
- 「一丈(約3メートル)の高さまで赤く染まる」ことがその名の由来
- 皮膚が裂け、血しぶきが高く飛び散る
- 生き延びたとしても下半身不随になる
- 男性の「腰斬刑」に対する女性版とも言える残虐な刑
腰椎を損傷するか、胸郭と骨盤の間にある臓器を壊すかという拷問であり、即死はできない。極度の苦痛を受けながら長く苦しむことになる。
夏常在は一丈紅を執行された後、冷宮(れいきゅう)──廃妃が幽閉される寂れた場所──に放置され、誰に看取られることもなく息絶えました。
下半身が動きませんから、食事を置かれてもはって行って口にすることもできません。
当然糞便垂れ流しになります。蝶や花よと育てられた美しいお嬢さんが惨めな状態で亡くなるしかありません。
夏常在の致命的ミス3選
後宮という生存競争の場で、夏常在は数々の重大なミスを犯した。その一つひとつを振り返ると、彼女の悲劇は必然だったとさえ言えるだろう。
❌ ミス① 宮廷教育を軽く見た
入宮したばかりの妃嫔たちには、礼儀作法を学ぶ「妃嫔教育」が義務づけられていた。しかし夏常在は:
- 授業中に大声で話す
- 教育係の嬷嬷(女官)に対して反抗的な態度をとる
- 同僚たちとの関係構築を怠る
→ この時点で「使えない駒」として烙印を押された
夏常在は「美貌があれば皇帝の寵愛を勝ち取れる」と考えていた。しかし後宮の権力者たちが見ていたのは、その妃嫔が「自軍に引き込める使える人材かどうか」だった。
❌ ミス② 権力構造を見誤った
夏常在の単純な思考回路:「皇后が一番偉い → 皇后に気に入られればOK」
しかし宮廷の現実は違った:
- 位は皇后が上でも、実権は華妃が握っていた
- 皇帝の寵愛を一身に受ける華妃の発言力は絶大
- 皇后でさえ、華妃を無視することはできない
→ 華妃を軽視した結果、宮廷最大の敵を自ら作り出してしまった
❌ ミス③ 皇后に見捨てられた
当初、皇后は夏常在を自派閥に引き込もうとしていた。しかし:
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- あまりにも政治的センスがなく、駒として使えない
- 教育してもまったく成長が見込めない
- むしろ足手まといになるリスクがある
→ 皇后は早々に見切りをつけ、華妃の怒りから守ることもしなかった
史実のモデル──明氏の誤算と転落
夏常在のキャラクターは、実在した雍正帝(ようせいてい)の妃嫔·顧常在または明氏をモデルにしていると言われています。
ドラマの夏常在よりも、史実の明氏の失敗はさらに具体的で、より「計算の誤り」が際立っている。
勘違いその① 実家の力を過大評価
明氏の父は軍の将軍。それを根拠に「自分は強い後ろ盾がある」と信じていた。しかし宮廷の現実は:
- 同じレベルかそれ以上の名家出身の妃嫔が宮中に溢れていた
- 華妃の兄·年羹堯(ねんこうぎょう)は大将軍兼宰相級の権力者
- 一般の将軍と宰相級権力者では、比較にならないほどの差がある
勘違いその② 年羹堯の失脚を誤読
明氏が犯した最大のミスは、父からの手紙で年羹堯が失脚したと知った後の行動だった。
- 年羹堯の失脚 = 華妃もすぐに没落する、と早合点する
- 態度を豹変させ、華妃への礼を欠くようになる
- それまで無視していたニオフル氏(後の皇后)に急に媚びを売り始める
- 宮廷の人々の前で公然と「あなたの兄は罪人よ!」と華妃を嘲笑する
しかし、雍正帝の真意を完全に読み誤っていた。年羹堯は失脚しても、皇帝の華妃への寵愛は変わらなかった。
華妃は宮廷に留まり続け、明氏の計算はすべて外れた。
最後の誤算──皇帝は助けてくれなかった
華妃の怒りを買った明氏は、雍正帝に直訴しようとした。しかし:
✗ 侍女が華妃に買収されていた → 皇帝に会う機会すら奪われる
✗ 皇帝の愛は錯覚だった → 雍正帝が明氏を寵愛したのは、若い頃の華妃に似ていたから
✗ 皇帝は華妃を守る選択をした → 年羹堯失脚後も華妃を見捨てず、明氏の処刑を黙認
こうして、誰からも救いの手は差し伸べられず、一丈紅の刑が執行された。
まとめ──後宮サバイバルが教える真実
夏常在/明氏の悲劇は、後宮というシステムの本質を鮮明に映し出している。
- 美貌だけでは後宮では生き残れない
- 権力の「見かけ」と「実態」を正確に読む洞察力が必要
- 誰を敵にして、誰を味方にするかの判断が生死を分ける
- 皇帝の寵愛は「本物の愛」ではなく、政治的な計算の上に成り立つ
- 失脚情報を得たとき、すぐ態度を変える行為は最も危険なギャンブル
ドラマ『宮廷の諍い女』が圧倒的な人気を誇る理由の一つは、こうした後宮政治のリアルな描写にあると思います。
夏常在の末路は視聴者に深い衝撃を与えるますが、それは単なる残酷描写ではないと思います。
現在でも会社、社会システムの中で、愚かな判断がいかに致命的な結果をもたらすかをも、気づかせてくれます。



