安陵容の生い立ちから生まれた心理的焼印(人が良くしてくれるのは私を利用したいからだ)「宮廷の諍い女」考察
安陵容の父と母
安陵容の母親は、父が賄賂やゴマスリで小さな官吏の職を得るために、
刺繍の仕事をして青春の全てをお金を倹約することに費やしました。
しかし、安陵容の母のおかげで官吏の職を得た父親は、
数人の妾をかかえ、母親は無視され、死よりも酷い扱いをうけました。
そこで、かつての男尊女卑の時代、男性(夫)の心をつかむことができなければ何も残らない、
と安陵容は思い知らされました。
そして同時に男性に対して恐怖感と不信感を抱いていました。
初めての夜伽
皇帝に夜伽に呼ばれた際、安陵容は震えてしまいました。
緊張で震えていたのではなく、
心の中の恐怖を皇帝に気づかれてしまいました。
天下の主である皇帝なのに恐怖や不信を抱かれるのは、
自尊心が傷つけられたので、
安陵容は部屋に戻されてしまい、皆の笑い物になってしまいました。
安陵容の生い立ちから生まれた得意分野
安陵容は、常に人の顔色を伺い、
おどおどしながら、うつむいて生きてきました。
一方甄嬛たちは、裕福で、愛情に恵まれた家庭に育ち、
歴史書や詩などの勉強をして教養豊かで明るい顔をしています。
安陵容の得意は、刺繍と香料と歌声です。
刺繍は母親が生計を立てるための技術
香料は、父親の妾と戦う為の知識
(父親は妾をたくさん抱えていたのにも関わらず子供ができなかった)
この知識を駆使して彼女は後宮で戦っていきます
安陵容の皇帝への接し方は妾たちが父にする接し方と同じ
安陵容は従順であると皇帝から褒められます。
これはしかし、男性への自信のなさの裏返しです。
皇帝の関心を買うために、美しい声で歌います。
皇帝を誘うために香料(媚薬)を使います。
男性との愛を育むとか、精神的なつながりは考えていません。
安陵容にとって男性は、精神的なつながりを持つものではありません
いかに性的に興味を持ってもらうのかが重要でした。
安陵容の深い心理的な焼印
父親は、安陵容の母親を愛してはいなかったのですが
いい具合に金を出してくれたから妻としました。
自分が官吏となり目的を果たしたので、今度は若い妾を囲いました
だから、甄嬛(しんけい)が自分に良くしてくれるのは、
何かある。私を利用したいからに違いない
それならば
私は皇帝の寵愛を競ってやる
皇帝の寵愛を得て、あなたを惨めにさせてやる
こうしてみると、彼女の生い立ちが生んだ不幸な人だと思います。