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「宮廷の諍い女」の甄嬛の住まいの碎玉轩の場所と名前の意味

中国の宮廷ドラマ『宮廷の諍い女』(原題:甄嬛伝)を見た方なら、主人公・甄嬛が冷遇された時期に住まわされた「碎玉軒」という場所を覚えているでしょう。しかし、この碎玉軒にまつわる真実は、ドラマの設定とは異なる興味深い歴史を持っています。

実在する碎玉軒の姿

紫禁城に実際に存在する碎玉軒は、御花園の北東角に位置しています。その建築的特徴は以下の通りです。

  • 構造:間口5間、奥行き1間
  • 屋根:緑色の釉薬瓦で覆われている
  • 様式:鶴山の建築様式を採用
  • 接続:外界とは共用の宮門でつながっている
  • 庭園:門の内側には東西に2つの小さな広場があり、樹齢100年を超える梨の木をはじめ、多くの梨の木が植えられている

ドラマの設定:蘇芳寨としての碎玉軒

ドラマ『宮廷の諍い女』で、主人公・甄嬛が年貴妃によって住まわされることとなったのが碎玉軒です。年貴妃は意図的に、この不吉な名前を持つ場所に甄嬛を追いやったのです。

劇中で碎玉軒として描かれているのは、実際には蘇芳寨という建物でした。歴史的に蘇芳寨は人が住む場所ではなく、劇を見るために妃たちが使う休憩所として機能していました。つまり、本来は居住用に設計されていない場所だったのです。

現在、この蘇芳寨の遺構は残っていません。ドラマでは、実在する碎玉軒に梨の木が植えられていることから、その設定を取り入れているのです。

「碎玉」という名に込められた不吉な意味

ドラマの中で、碎玉軒は「非常に寒く、かろうじて生きることができる場所」として描かれています。康禄海(カン・ルーハイ)によれば、裏庭に梨の木が多いことから、この場所は碎玉軒と呼ばれているとされています。

しかし、「碎玉」という言葉には、表面的な意味以上の深い含意があります。

碎玉の象徴性

碎玉(すいぎょく)とは、文字通り「壊れた玉」を意味します。これは単なる小さな玉や玉の破片を指すだけでなく、以下のような暗喩を含んでいます。

  • 亡くなった女性の髪飾りの残骸
  • 散り落ちた花(落花の暗喩)
  • 失われた美しさや栄華

中国の伝統的な文化において、玉は高貴さや純潔の象徴です。その玉が「砕ける」ということは、栄華の終わり、美しいものの破壊、あるいは命の儚さを表現する、極めて不吉な名前なのです。

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ドラマにおける象徴的な演出

『宮廷の諍い女』の脚本家は、この碎玉軒という名前の持つ象徴性を巧みに利用しました。年貴妃が甄嬛を意図的にこの不吉な名前を持つ場所へ追いやったことで、権力闘争の冷酷さと陰湿さが際立ちます。

さらに、その場所が本来は劇を見るための妃たちの休憩所であり、人が住むように設計されていない建物だったという設定は、甄嬛の境遇の過酷さを一層強調しています。居住に適さない場所での生活を強いられることで、彼女の宮廷での地位が表現されているのです。

梨の花が散る様子と「碎玉」という名前が重なり合うことで、美しさと儚さ、栄華と没落というテーマが、より一層深みを持って描かれています。

まとめ

紫禁城の碎玉軒は、実際の建築物としての美しさと、ドラマにおける象徴的な意味の両面で、私たちに興味深い物語を提供してくれます。史実とフィクションが交錯するこの場所は、中国宮廷文化の奥深さと、物語の力を改めて感じさせてくれる存在と言えるでしょう。


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