安陵容の寵愛を得た歌
採蓮(蓮を摘む)は、 ドラマ「宮廷の諍い女」の中で、瓊華島で宴が開かれた時、安陵容が皇帝を惹きつけるため、顔をヴェールで隠し、歌いながら舟に乗って宴の席に近付いて行った時の歌です。
歌声に魅了された雍正帝が舟へ歩いて行き、 安陵容は歌を巧みに使い、皇帝の寵愛を得ました。
「採蓮」詩の解説
古来より、長江の南に位置する呉、楚、越では、いたるところに水路や池があり、多くの蓮根が植えられていました。夏から秋にかけて、若い娘たちは舟に乗って蓮の実を摘みに出かけ、歌を歌い合いました。
この詩は、蓮摘みの娘たちの賑やかで楽しげな情景が描かれており、泳ぐ魚たちが楽しそうに通り過ぎ、蓮摘みをしている人たちの笑い声が聞こえてくるようです。
江南の情景と若い娘を思い起こさせ、花が隠れたりするのを追いかけっこさせる巧みな誘惑の歌です。
「採蓮」の下敷きとなった詩
この歌は以下の2つの詩を土台としています。
やはり、教養豊かな皇帝に認められるためには、ただ歌が上手いだけではダメなようですね。
宋欧阳修《蝶恋花》词:
“越女采莲秋水畔,窄袖轻罗 秋の水辺で蓮を摘む越の女性 細い袖で軽く顔を隠す。二連の金のブレスレットが揺れている照景摘花花似面,花を見れば、まるで顔のように思える。芳心只共丝争乱。私の心はただ絹のように惑い揺れる。
唐李白の『越の淑女の詞』:
「越河の蓮摘みは客を見て舟に戻った。彼女は笑って蓮の花の中に入ったが、恥ずかしがるふりをして出てこなかった」。“唐李白《越女词》:”耶溪采莲女,见客棹舟回。笑入荷花去,佯羞不出来。
この詩を踏襲しているから、恥ずかしそうにベールをかぶり顔を隠していたのですね。
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「採蓮」詩
畑の蓮の葉
その真ん中に二匹の鯉がいる
青い波の中で戯れる
蓮の葉の東で遊ぶ魚たち
蓮の葉の南で魚が遊ぶ
蓮の葉の中の少女は誰?
蓮の枝を水面に投げて微笑む
「採蓮」詩の隠された意味
ここまで書いて、やたら雍正帝はニヤついていたなと
ふと私気がつきました。
「蓮」 lián と「恋 」liàn は四声は違うけど、音は同じ
「采蓮」とは恋を摘み取るという意味
二匹の鯉は、皇帝と私
私は恋をあなたに投げかけるわ、摘み取ってちょうだい
という女性の積極的なアプローチだったのでは