※本サイトは、アフィリエイト広告を利用し収益を得て運営しています

君子 危うきに近寄らず  君子不立危墙之下 三国機密

ことわざの意味と由来

「君子不立危墙之下(君子は危うきに近寄らず)jūn bù lì wēi qiáng zhī xià」は、中国古典文学の名作『孟子』に由来する格言です。文字通りには「君子(徳の高い人)は崩れそうな壁の下には立たない」という意味で、賢明な人は危険な状況を事前に察知し、それを避けるべきだという教えを表しています。

『孟子』における原文とその解釈

『孟子・尽心』上篇の第二句には次のように記されています:

> 「莫非命也,順受其正,是故知命者不立乎岩墻之下。盡其道而死者,正命也;桎梏死者,非正命也。」

 現代語訳

「決定された同じ運命などというものはなく、自分に与えられた天命を受け入れるのが正しい。だから、自分の天命を知っている者は岩壁の下には立たない。義務を果たしながら死ぬ者は正しい運命であり、くびきの下で死ぬ者は正しい運命ではない。」

「真に天命を理解した人は、不必要な危険を冒すことはありません。なぜなら、人には果たすべき正しい道があり、その道を全うすることこそが真の天命だからです。」

孟子の深い哲学的洞察

 宿命論の否定

孟子がここで最初に述べているのは、**「決定された同じ運命などというものはなく」**という宿命論の否定です。これは非常に重要な思想で:

– すべてが予め機械的に決まっているという運命観の拒否
– 人間には選択の余地があるという主体性の強調
– 「天命」は固定的なものではなく、人の行いによって影響されるという考え

「天命を受け入れる」ことの二重性

「自分に与えられた天命を受け入れる」という表現には、一見矛盾するような二つの要素が含まれています:

**受動的側面:** 天から与えられた使命や境遇を素直に受け入れる
**能動的側面:** その天命を正しく理解し、適切に対応する

孟子の「天命」概念は、単なる諦めや消極性ではなく、**積極的な人生への取り組み方**を示しています。

広告

「正しい運命」と「正しくない運命」の区別

孟子は死に方にも道徳的な区別を設けています:

**正しい運命(正命):**
– 道徳的義務を果たしながらの死
– 自分の役割や使命に忠実に生きた結果としての死
– 「人事を尽くして天命を待つ」という態度

**正しくない運命(非正命):**
– 罪を犯して刑罰で死ぬこと
– 自分の不注意や愚行による死
– 不必要な危険に身を晒した結果としての死

つまり、孟子は「**不必要な危険で死ぬのは正しい運命ではない**」と明言しているのです。それゆえ(君子は危うきに近寄らず)なのです

実践的な知恵として

この格言には、実生活に応用できる二つの重要な教訓が含まれています:

第一の教訓:予防の重要性

潜在的な危険を事前に察知し、適切な予防策を講じること。これは現代のリスクマネジメントの基本原則とも通じています。

第二の教訓:適切な撤退

危険な状況に陥った場合は、迅速かつ適切に立ち去ること。勇気と無謀は別物であることを理解する必要があります。

歴史的エピソード:孔子と子路

この格言の実践例として、孔子と弟子の子路との間にあった有名な逸話があります。

子路は魏の国で大書記官になることを希望していました。しかし、当時の魏は政治的に不安定で、王は実権を失い、太子は倫理に反する行いをしており、国内では権力闘争が絶えませんでした。

孔子は子路の赴任に強く反対し、「そのような危険な国には入るべきではない」と忠告しました。しかし子路は自信満々に「私なら魏をうまく治めることができる」と主張しました。

そこで孔子が引用したのが、まさにこの「君子不立危墙之下」の格言でした。師の孔子は、真の賢者は自らの能力を過信して不必要な危険に身を晒すべきではないと教えたのです。

広告

中国ドラマ

広告