衮冕とは
衮冕は、古代中国の皇帝の正装であり、祭天や宗廟などの重要な祝典の際に着用される礼服です。
衮衣と呼ばれる衣服と、冠である冕（礼帽）からなっています。
『周礼』には衮冕に関する記述があり、西周から明朝滅亡まで約2,000年にわたって使用されました。
古代中国では天の神は天子のみが祭る
古代中国では、祭祀には厳格な階級の区別がありました。
衮冕がなければ、大廟（帝王の祖先を祀るところ）にはいることができません。
天の神は天子のみが祭祀することができました。
天を祭る際には先祖と対話します。
皇帝の始祖は、天帝ですので、帝王の先祖はすなわち、天の神です。
皇太后劉娥でも大廟には入れない
皇太后劉娥は、大廟に入って、趙恒と対話したいと望みました。
自分を認めてくれなかった趙恒の父や先祖に自分の業績を報告したかったのでしょう。
がしかし、大廟にはいって、皇帝の祖先に報告するなど、皇帝にしかできないはずです。
それゆえに、朝臣たちが反対しました。
劉娥の挑戦状
「人の行いにおいて最も重要なのは孝である」と孔子は言いました。
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「孝」に背くことは、皇帝に備わるべき徳が仁宗にはないことになります。
劉娥はそれまで、朝政を牛耳っていました。まるで皇帝のように。
劉娥を実質上の皇帝と認めるのか、仁宗を育てた母として大事にするのか
劉娥は、踏み絵を踏ませたと私は思います。
仁宗の出した答え
皇帝・趙禎（仁宗）は、育ての母に「孝」を尽くすために、劉娥の願いを許可しました。
ただし、皇帝と同じ正装をさせないことにしました。
劉娥の衮冕を変えることによって、大廟に皇太后が入るが、皇帝ではないとはっきりさせました。
劉娥が勝ったのか、仁宗が勝ったのか
劉娥のための恩赦という名目で、劉娥と対立していた朝臣を復職させました。
これは、仁宗の親政の大きな手助けになりました。
仁宗はずっと劉娥を自分の母だと思って育ちました。
劉娥のせいで実際の母親に孝行できずに辛かったと思います。
それでもグッと我慢をして、最終的には勝ったのではないでしょうか。
