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「甄嬛」という名前に込められた意味 – 蔡伸「一剪梅」から読み解く

中国の歴史ドラマで人気を博した「甄嬛伝」。その主人公の名前「甄嬛」には、実は深い文学的背景と美意識が込められています。今回は、この美しい名前の由来を古典詩から探ってみましょう。

「甄」姓に込められた美人のイメージ

「甄」という姓は、漢時代末期の絶世の美人・甄宓(ゼンミ、zhēn mì)を連想させます。甄宓は魏の文帝曹丕の皇后となった女性で、その美貌は後世まで語り継がれています。この姓を選ぶことで、既に美人への憧憬が込められているのです。

「嬛」の文字に秘められた詩情

「嬛」という文字の美しさは、北宋の詞人・蔡伸の「一剪梅」という詞から来ています。

蔡伸「一剪梅」原文と日本語訳

原文: 堆枕乌云堕翠翘。午梦惊回,满眼春娇。嬛嬛一袅楚宫腰。那更春来,玉减香消。

日本語訳:

枕に積もる烏雲、翠の髪飾りが落ちて
昼の夢から驚いて目覚めれば、目に映るは春の艶やかさ
嬛嬛として嫋やかなり、楚宮の細き腰
ましてや春が来たというのに、美玉は痩せ細り香りも消えゆく

「嬛嬛一袅楚宮腰」に込められた美意識

この詩の中で最も美しい一句「嬛嬛一袅楚宮腰」(huán huán yī niǎo chǔ gōng yāo)。ここでの「嬛」は、穏やかで美しいという意味を持ちます。

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「楚宮腰」の背景

楚の霊王は細いウエストを好む王として知られていました。そのため楚の宮廷の女性たちは、王の寵愛を得るために三度の食事を一度に減らし、美しい細腰を競ったという故事があります。「楚宮腰」とは、この極限まで細められた美しいウエストラインを指す言葉なのです。

雍正帝が愛した詩句

ドラマでは雍正帝がこの「嬛嬛一袅楚宮腰」の句を繰り返し暗誦していました。この詩句は、穏やかで美しい女性の優雅な曲線美を表現した、中国古典文学の傑作の一つとされています。

まとめ

「甄嬛」という名前は、単なる美しい響きだけでなく、中国古典文学の豊かな伝統と美意識を背景に持つ、計算し尽くされた命名なのです。「甄」姓による美人への憧れと、「嬛」字による古典的優雅さの表現。この二つが組み合わさることで、時代を超越した女性美の理想像を表現しているのです。

古典詩の一句から生まれた「嬛」の文字に込められた「穏やかで美しく、曲線美に恵まれた女性」という意味が主人公にこめられているのです

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