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『伊人如梦』ミーユエ エンディング曲 歌詞の意味と日本語訳|霍尊が歌う切ない恋

中国ドラマ「ミーユエ 王朝を照らす月」のエンディングを飾る曲、『伊人如梦(イーレンルーモン/想い人は夢のごとく)』。歌うのは霍尊(フォ・ズン)、作曲は阿鲲、作詞は何其玲。秦の宣太后・羋月(ミーユエ)の波乱の生涯を、静かに、そして切なく包み込む名曲です。

このタイトルにある「伊人(いじん)」――”想い人”を意味するこの言葉は、実は今から2500年前の詩から生まれました。中国最古の詩集『詩経』「秦風篇」に収められた「蒹葭(けんか)」。その一節、「所謂伊人、在水一方(想い人は、水の向こうに)」です。

一曲のエンディングテーマの奥に、2500年の時を超えて響き合う恋心がある――。今回はその想いを、歌詞とともに読み解いていきます。

■ 「伊人」という言葉が生まれた詩 ──『詩経』「蒹葭」

「蒹葭」は、紀元前7世紀ごろに成立したとされる『詩経』の「秦風篇」に収められた詩です。晩秋の朝、霜のおりた葦原のかなたに想い人の姿を求め、上流へ下流へとさがし歩く――けれど道は険しく、その人にはどうしても届かない。「所謂伊人、在水一方(想い人は、水の向こうに)」というわずか八文字に、手の届かない美しいものへの永遠の憧れが込められています。

(詩の全文と現代語訳は、別記事「『詩経』蒹葭 現代語訳と解説」で詳しくご紹介しています

✦ 私の見立て ── ミーユエと「蒹葭」の響き合い

正直にお伝えすると、『伊人如梦』の歌詞そのものが「蒹葭」を直接引用しているわけではありません。歌詞に流れているのは、渭水(いすい)と汨水(べきすい)という、二つの川のモチーフです。

それでも私には、この曲と「蒹葭」が深いところで響き合っているように思えます。つながっているのは、タイトルの「伊人」という言葉の出自と、”手の届かぬ人を求め続ける”という主題です。

歌詞のなかほどに「汨水暖 渭水寒(汨水は暖かく、渭水は冷たい)」という一節があります。汨水は楚の国を流れる長江の支流――ミーユエが若き日を過ごし、初恋の人・黄歇(こうけつ)と出会った、暖かい故郷の水です。いっぽうの渭水は、秦の都を流れる黄河の支流――権力の頂きにのぼりつめた彼女が、いま立っている冷たい水辺です。

暖かい過去と、冷たい現在。その二つの水のあいだで、ミーユエは生涯、”水の向こうにいる人”を求め続けました。求めても求めても、手は届かない。これはまさに「在水一方」、「蒹葭」が描いた世界そのものです。

権力を手にしてもなお、真の愛と平穏は水の向こうにあって届かない――。『伊人如梦』(想い人は夢のごとく)というタイトルそのものが、その切なさを言いあてているように、私は思うのです。

私の詩の解釈

空に輝く星々は、まるで明るい月のよう

この星を数えながらあなたと一緒の日々の出来事や約束を、一つ一つ数えています

こんなに恋しい思いで胸がいっぱいなのに、

残ったのは一縷の孤独だけ

春になって一面に花が咲くのをみて、秋になって霜が野を枯らすのを幾度も見ました

栄華を極めたこと、屈辱を与えられたこと、どうやって数え尽くすことができるの

暖かい故郷の川の辺りで私たちは出会い語り合った

でも、私は今故郷を遠く離れた冷たい川のほとりに一人さびしく立っています

あなたはどうなさっている?

どこにいらっしゃるの?

昔のままのあなたでいらしゃるのかしら

別れてから

いくつもの春が過ぎ、秋が過ぎていきました

たくさんの時間がすぎさってしまいました

そして時間も距離もとおくに離れてしまったけど、

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私の心は変わらなくあなたを思っています

あなたと出会えたことで喜びを知り、

あなたとの別れたことで苦しみを知り尽くしました。

あなたのいない日々は耐えられない。

狂おしいほどあなたを愛しています。

全ての愛をあなたにささげたい

私はただあなたのそばにずっといたいのです

あなたと共に生き 共に死にたいのです

 

■ 歌詞・ピンイン・日本語訳

繁星如许 明月如初

fán xīng rú xǔ míng yuè rú chū

輝く星々 明るい月のよう

星は数え切れないほど煌めき、月は初めて見た時のままオープニング曲は「満月」ですので、それに呼応するように星がテーマです。

前尘往事 从何细数

qián chén wǎng shì cóng hé xì shǔ

過去の出来事 どこから細かく数え上げればいいのか

出会いや一緒にやってきたことや約束

過ぎ去った日々の出来事を、どうやって一つ一つ数えればいいのだろう

心有情丝万千束

xīn yǒu qíng sī wàn qiān shù

恋心を幾重に募らせても

却剩得一缕孤独

què shèng dé yī lǚ gū dú

残ったのは一縷の孤独だけ

春花开谢 秋草又枯

chūn huā kāi xiè qiū cǎo yòu kū

春風は花を満たし 秋霜が野を枯らす

時がたちました

盛衰荣辱 如何细数

shèng shuāi róng rǔ rú hé xì shǔ

栄枯盛衰 何をか思わん

名誉も屈辱も、どうやって数え尽くせようか

汨水暖 渭水寒

mì shuǐ nuǎn wèi shuǐ hán

あなたのいる楚の国汨水は暖かい。 でも、私は今遠く離れた冷たい水の渭水にいます

2人の距離も離れました

汨水は長江の支流、楚の国を流れている。

渭水は黄河の支流で渭水盆地に秦がある

换不回伊人如故

huàn bù huí yī rén rú gù

伊人如故(あの人は昔のまま)でいてほしい

春が過ぎ、秋が過ぎ、失った時間は取り戻せない換不回(取り戻せない)」

時は流れたけど、距離もとおくに離れてしまったけど、私の心は変わらなくあなたを思っています。

どうかあなたも昔のままでいてほしい

尝尽悲欢离合人间苦

cháng jìn bēi huān lí hé rén jiān kǔ

地上の出会いと別れの喜びと悲しみ、苦しみを知り尽くしました

どうして私たちは遠く離れた他人のようになってしまったの

却怎么咫尺天涯陌路

què zěn me zhǐ chǐ tiān yá mò lù

耐え難きはあなたのいない日々。それなのにどうして人生を踏み出せと

痴心诉 痴意笃

chī xīn sù chī yì dǔ

愛も情も

痴情再相付

chī qíng zài xiāng fù

全てあなたに傾け

狂おしいほどの愛を再びあなたに捧げたい

痴情とは理性を超えた激しい愛情を表現しています。

愿为你拼尽柔情傲骨

yuàn wèi nǐ pīn jìn róu qíng ào gǔ

一途にこの愛を貫きたい

喜んであなたに愛情を尽くしたい

あなたのために すべての優しさと誇りを注ぎ尽くしたい

望尽相思红颜凋零处

wàng jìn xiāng sī hóng yán diāo líng chù

あなたの一生を見守りたい

紅顔は若き頃、凋零は年老いた頃

我只愿与你朝朝暮暮

wǒ zhǐ yuàn yǔ nǐ zhāo zhāo mù mù

私はただ、あなたのそばにずっといたい

私はただあなたと朝に夕に寄り添っていたい

爱入心 恨入骨

ài rù xīn hèn rù gǔ

愛も情をもって

生死再相赴

shēng sǐ zài xiāng fù

あなたと共に生き 共に死にたい

愿为你永生永世守护

yuàn wèi nǐ yǒng shēng yǒng shì shǒu hù

願わくば、今生を共に過ごし、永遠にあなたを見守りたい

■ 2500年を超えて

「蒹葭」が詠んだ”水の向こうの想い人”は、時代をこえ、ミーユエの物語に、そして霍尊の歌声に生き続けています。手の届かない美しさへの憧れは、きっとこれからも、人の心に静かに響き続けるのでしょう。

→ この曲の源にある詩を読む:「『詩経』蒹葭 現代語訳と解説」

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