はじめに
中国古典には、権力者の言葉の重みと信頼関係の大切さを説いた深い教訓が数多く残されています。
大宋宮詞 26話 では、「桐葉封弟(とうようほうてい)」という故事が取り上げられています。
桐葉封弟の故事とは
周の成王の約束
時は周の時代。幼い成王(?〜前626年)が弟の叔虞と遊んでいたときのことです。
成王は戯れに桐の葉を切り取り、本来であれば封建の印である玉圭の代わりとして弟に与えました。
「お前にこれを授けて、王に封じる」
子供らしい無邪気な遊びの一言でした。
言葉の重み
月日が流れ、成王が正式に王位に就いたとき、家来がお祝いに来てこう言いました。
「吉日を選んで、弟君を王にしましょう」
成王は大いに驚きます。
「朕は、戯れに弟を王に封ずると言ったのであって、それは真意ではない」
しかし家来は毅然として答えました。
「天子ともあろうお方が、仮にも戯れの言葉などあってはなりません」
成王はその約束を守り、弟を唐王に封じたのです。
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冀王の絵に込められた想い
この「桐葉封弟弁」の場面を描いた絵を、冀王が制作していたことを趙恒は覚えていました。
なぜ冀王がこの故事を選んだのか。そこには深い意味がありました。
故事の教訓
桐葉封弟の故事が伝える教訓は明確です:
天子や上に立つ者、一家の主が、仮にも戯れ偽れば、
下の者は上を疑ってしまい、何事をも信じることができず、
国や一家は滅亡の道を辿ってしまう。
兄弟の絆を取り戻すために
冀王が謀反の疑いをかけられていると誤解し、絶望のあまり子供を殺して自らも死のうと考えた時。
騒ぎを聞きつけた趙恒は、まさにこの桐葉封弟の故事を持ち出したのです。
趙恒が弟に伝えたかったこと:
- 兄弟の情を感じていること
- 自分は天子として何も偽ってはいないこと
- 自分を信じて欲しいということ
言葉の力と信頼関係
この物語が私たちに教えてくれるのは、権力を持つ者の言葉がいかに重いものかということです。
そして同時に、家族や組織における信頼関係の脆さと大切さを物語っています。