秦vs趙、一触即発の緊張状態
秦と趙。当時の中華を代表する二大強国が、ついに激突しようとしていました。どちらが勝つか、誰にも予想できない状況です。
この緊張状態の中で、周辺諸国はそれぞれの思惑を抱いて動き始めます。
韓の二股外交術:生き残りをかけた賭け
小国・韓が選んだのは、究極のバランス外交でした。
秦への協力
韓は秦と密約を締結。滅亡を免れる代わりに、秦軍への補給路を提供することにしました。咸陽から戦場までは遠く、秦にとって兵糧輸送は死活問題。韓の協力は極めて重要だったのです。
趙への配慮
ところが韓は、上党の地を趙に献上したことで趙王の怒りを買っていました。機嫌を取るため、貢物と王女まで献上する念の入れよう。
韓の本音: 秦が勝っても趙が勝っても生き残れるように準備。もし趙が優勢になれば補給路を遮断し、魏・楚が援軍を送れば即座に寝返る覚悟でした。
しかし、秦と趙が和解して仲良くなるのも困ります。そうなれば次のターゲットは韓。二大強国が戦争で消耗し合うことこそが、韓にとって最良のシナリオだったのです。
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燕の火事場泥棒作戦
燕もまた、秦と密約を結んでいました。
その狙いは明確です。趙が秦との戦いで疲弊したタイミングを見計らって出兵し、国境の土地を奪い取る。典型的な漁夫の利作戦でした。
魏と楚:援軍派遣の条件
魏と楚は様子見の構え。ただし、趙が勝ち始めれば援軍を送るつもりでした。
魏の動機
かつて秦に奪われた土地への恨み。趙が勝てば、それに乗じて失地回復を狙います。
楚の思惑
秦と国境を接する楚も、同様に過去に奪われた領土を取り戻したい。趙の勝利は、そのチャンスになるのです。
まとめ:戦国時代の冷酷な国際関係
この状況が示すのは、戦国時代の外交がいかに複雑で冷徹だったかということです。
- 韓:どちらが勝っても生き残るための綱渡り外交
- 燕:弱った相手から土地を奪う機会主義
- 魏・楚:勝ち馬に乗って失地回復を狙う実利主義
同盟も密約も、すべては自国の利益のため。昨日の友は今日の敵、そして明日はまた友になるかもしれない。
これが、『キングダム』で描かれる戦国時代のリアルな国際関係だったのです。