寡人有疾 寡人好货
伏寿と楊平は鄴の市場へ食材を買い物に出かけます。
そこで楊平は野菜を値切ります。
「皇帝自ら値切るとは驚きです」という伏寿に対して楊平は軽く
「私にはお金が好きという病気があってね」と返します。
これは、「孟子」の中の「斉の宣王との対話」から引いています。
冗談にも楊平の教養が表れていて、伏寿の胸キュンポイントだと思います。
孟子と斉の宣王の対話 財産欲
宣王は言った。
「なるほど…では、王政とは、どのような政治かお聞かせください」
孟子は答えて言った。
むかし、文王がまだ岐山のあたりを治めていたころ、
田畑への税は、九分の一でした。
国に仕官した者は代々俸禄が与えられ、関所や市場では監視するだけで税金は取りませんでした。
池や川では梁(やな)で魚をとることを禁止することもなく、人を罰する際には本人のみが罰を受け、家族には及び ませんでした。
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老いて妻がいない者を、鰥(かん)と言います。
老いて夫がいない者を、寡(か)と言います。
老いて子がいない者を、獨(どく)と言います。
幼くして父がいない者を、孤(こ)と言います。
この四者は、天下で最も困窮する民で、自ら苦しいことを訴えることができない者たちです。
そこで文王は、政令を発して、仁を行うにあたり、まずはこの四者から手を差し伸べました。
宣王は言った。
なるほど、まことに結構なよいお話である。
孟子は言った
そのように思し召しなら、どうして早速実行しないのですか
宣王は言った。
行ないたいのは山々だが、どうもわしには悪い癖があって、財貨が大好きなのだ。王者の政治〔などという立派なこと〕は難しい気がします。